2014年10月17日金曜日

エボラ出血熱(1):死者500万人との予測も:日本上陸で一気に感染が拡大する危険性

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●Ebola Virus (c)ThinkStock



JB Press 2014.10.16(木)  堀田 佳男
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41972

蔓延するエボラ出血熱、死者500万人との予測も
準備のない日本へ上陸したときには、一気に感染が拡大する危険性

 「シエラレオネとリベリアでは全国民に感染が広がり、死者は500万人に達するだろう」
 エボラ出血熱(以下エボラ)の感染が広がり、誇張とも思える衝撃的な予測が出されている。
 これはドイツの著名なウイルス学者ジョナス・シュミット・チャナシット氏が9月、ドイツメディアに発言したものだ。

■ワクチンが開発されない限り拡大が続く危険性

 世界保健機関(WHO)の予測が140万人という数字なので、改めてエボラの恐ろしさが強調された感がある。
 ただ同氏の予測について、医学者からは「行きすぎた数字。正確ではない」との声もある。

 それでも米国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ博士は、
 「ワクチンが国中に行き渡らない限り、エボラの拡大を止めることはできないかもしれない」
と医学雑誌とのインタビューで答えている。

 西アフリカの3国(シエラレオネ、リベリア、ギニア)で今後も感染者・死者が増加することは残念ながら否定できず、500万人という数字は最悪のシナリオとしてあり得るのかもしれない。

 WHOが発表した14日現在の感染者は8914人、死者は4447人で、
 過去数カ月の数字の推移を見ると、
 ほぼ4週間で感染者と死亡者が2倍ずつ増えてきている(エイズよりはるかに怖いエボラ出血熱、蔓延の兆し)。

 日本人の感染者は報告されていないが、米国テキサス州ダラス市で8日、リベリア人男性トーマス・エリック・ダンカンさんが死亡した。
 世話をしていた看護師の女性が感染し、米メディアはエボラに大きな関心を注いでいる。

 まるで米国内に感染が拡大していくかのような騒ぎだ。
 同じウイルスでも、エボラは水疱瘡のような空気感染で伝播する感染症でないにもかかわらず、である。

 というのも、現時点で軽視できない報告が積み上がってきているからだ。

 ウイルスは早い段階で分離(発見)されたが、感染経路はいまだに曖昧なところがある。
 テキサス州ダラス市の女性看護師は、防護服を着ていたにもかかわらず感染した。
 何度も隔離病棟に入ってダンカンさんの世話をしていた人だが、直接体液に触れたということではないようだ。

 米疾病予防管理センター(CDC)のトーマス・フリーデン所長は、
 「看護師に何らかの手順違反があり、感染の原因になった」
とコメントしたが、従来の予防行動だけでエボラを防止することは不十分との見方もある。

■「空気感染はしない」の"常識"は信用できるのか?

 実は10年ほど前、空気感染もあるとの医学論文が出ていた。
 米イリノイ大学公衆衛生学の教授2人は、
 「エボラ・ウイルスは免疫学的に、空気中に拡散した分子によって感染する可能性がある」
と英医学誌「ランセット」に記している。

 通常の布製マスクではウイルスを防止できないこともあるため、両教授は患者を診る医療関係者は「防毒マスクを着用すべきだ」と忠告した。
 その後、空気感染はしないとの認識が定着するようになる。

 感染経路については今夏まで、エボラを発症した患者や遺体の体液に触れなければ感染はないと言われてきた。
 いまだにそうした認識だが、「本当にそうなのか」との疑問符もつけられている。

 というのも、エボラは数個のウイルスが体内に入るだけで感染すると言われており、ひげ剃りあとの顔や、目に見えない手先の擦り傷に微量のウイルスが付着するだけで感染する可能性があるからだ。

 テキサス州の看護師が感染したのも、防護服の着脱のときに、微量のウイルスが皮膚についたとも考えられる。

 リベリア政府が9月に発表した報告によると、エボラでの死者の15%が医師と看護師だった。
 この事実を考慮すると、これまで実戦されてきた作業手順や安全基準の枠を超えて感染が広がっているとも言える。

 米CNNの報道によると、米国には細菌・ウイルスを取り扱う実験室(バイオセーフティー・レベル4)がいくつもあるが、エボラの患者を完全に隔離・治療できる医療施設は4カ所しかないという。

 8月、エボラに感染したケント・ブラントリー医師が治療を受けたのは、その1つのジョージア州エモリー大学附属病院。
 今回、感染してしまった看護師がいるのがダラス市の病院で、残念ながらエボラを完全にシャットアウトする施設ではなかった。

 CDCのフリーデン所長は会見で、「米国内では1人の感染者も許すべきではなかった」と述べたが、エボラの感染力が想定よりも勝ったと言えなくないのか。

 米国には毎日、西アフリカ3国から約150人が入国してくる。
 ニューヨークのケネディ空港では特定国からの入国者に体温測定をさせているが、発症前であれば発熱していないので、完全な阻止は難しい。

■日本に入ってきたら感染拡大は食い止められない

 コロンビア大学医学部のスティーブン・モース教授も
 「一般的な病院でエボラの患者を安全な環境で診られるところはない」
と述べている。

 撲滅という点に目を向けると、抗ウイルス薬も試されているが、ワクチンの完成を待つのが最も近道だろう。
 今秋から英国の大手製薬グラスコ・スミス・クラインがワクチンの臨床治験を始めている。
 実際の患者にワクチンを投与するということだ。

 通常の新薬認可のプロセスであれば、第1段階の結果が良好であれば、対象患者を増やした第2段階に入り、さらに大勢の患者を対象にした第3段階を経て認可に至る。

 一般的な新薬認可には数年を要するが、特例的にスピード認可を認めたとしても、今回のアウトブレイクを止めるには遅すぎる。
 CDCはエボラの感染者・患者の対応手順マニュアルを精査し直すようだが、全米の医療機関に強制させる権限はない。

 幸いにして、まだ日本では感染者・患者が確認されていないが、日本で感染者が出たときのために、他国から学ぶことは多い。
 元厚生労働省幹部に話を聞くと、「日本はまだエボラの対応はできていないのが実情」と述べており、早急に具体的な対応策を用意すべきだろう。

 問題なのは、西アフリカ3国に渡航していた人が発症前に日本に戻り、発熱したことで自宅近くの医院や病院に突然現れることだ。
 患者側も医療機関側も全くエボラ・ウイルス拡散の対応ができていないため、感染拡大は免れない。

 冒頭の「死者500万人」という数字が来年になって、「やはり誇張だった」と笑い飛ばせればいいが、日本を含めて西アフリカと地理的に遠い国までが患者の対応に追われないことを祈りたい。



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年10月14日(Tue)  村中璃子
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4311

日本上陸も秒読みへ!? エボラウイルス
米国人看護師感染の意味

 「アメリカで広がったら日本にも来るだろう。
 日本の医療現場で対応できるのか」。
 感染症法によれば、日本でエボラ出血熱患者を収容できる特定感染症指定医療機関・第一種感染症指定医療機関は、現在、全国で45施設92床。そのひとつに勤める医師は、エボラウイルスに対する不安をこう語る。
 このような指定を受けた専門の医療機関でも、エボラ出血熱のような、隔離措置を必要とする特殊な感染症の治療にあたった経験のある医療者は、ごくわずかなのだ。

■もはやエボラ出血熱は「対岸の火事」ではない

 アメリカ・テキサス州の保健当局は10月12日、テキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院の看護師が、エボラウイルス陽性の診断を受けたと発表した。
 この看護師は、9月30日にアメリカ初の輸入感染例として報告されたリベリア人男性患者のケアにあたっており、これがアメリカ国内において、エボラ出血熱に感染した初めての症例となる。

 アメリカは8月より、航空会社や各国の空港検疫と協力し、出国および入国に関する水際対策を開始していた。
 しかし、エボラ出血熱は、潜伏期間が最長で21日と長く、「感染はしているが発症はしていない」という患者を検疫のスクリーニングで拾うことはできない。
 当初から、エボラがアメリカ国内に入ってくるのは
 「時間の問題」とも言われており、男性患者が厳しい検疫をすり抜けたことは驚くに足らなかった。

 しかし、流行地のアフリカではなく、設備の上でも手順の上でも医療者の感染症防護対策が徹底されているアメリカにおいて、医療者への感染が起きてしまったことは重大な意味を持つ。

 米疾病対策センター(CDC)は、今回の看護師の感染例を
 「ある時点でプロトコール(手順)違反があった」
として例外的であることを強調し、
 「封じ込めは十分可能である」
と自信を見せていた。
 しかし、現場の医療者たちから
 「CDCがガイドラインを出したからと言って、十分な対策が取られているわけではない」
と当惑の声が高まる中、日本時間の14日未明、再度会見を行い、
 「感染は1例であってもあるべきではなかった。対策を再考すべき必要がある」
とコメントを修正。
 「今後、特に医療者の中から別の感染者が出ても不思議ではない」
と発言した。

 アメリカではHIVエイズが一般化した1980年代以降、どの患者の血液にもウイルスや細菌が含まれているという前提に立って、医療者は必ず手袋とガウンを着用するという「普遍的予防策(ユニバーサル・プリコーション)」が提唱されてきた。
 アメリカの医療現場においては、採血や手術はもちろんのこと、簡単な診察や体位変換などにおいても手袋とガウンは欠かせない。
 その後、血液以外の体液に対しても注意を払い、特に感染経路が不明で感染力の高い病原体に接する場合には、マスク、ゴーグル、キャップフットカバーといった防護具で全身を覆う「標準的予防策(スタンダード・プリコーション)」が提唱されるようになった。
 一方、日本の医療現場では「手袋をしているとやりづらい」と、手袋なしで採血や注射をする医療者も多く、不慣れな研修医や看護師は、
 「うまくいかないなら手袋を脱いでやってみろ」
と先輩医師に小突かれることもあるのが実情だ。

 エボラ患者のケアも、もちろん、こうした「標準的予防策」のプロトコールにのっとって対応されていたはずである。
 着慣れない防護服の適切な着脱は、一般の人が思う以上に難しい。
 世界最高水準の感染症対策と医療設備を誇るアメリカにおいてすら、医療者が感染した。
 この国で防げなかったものを、他のどの国で防ぐことができるのか。

 検疫で感染者の入国を防げないことは、大方の予想どおり証明された。
 アフリカとの飛行機の往来の少ない日本にエボラがアフリカから侵入する可能性は低いとされてきたが、今後、アメリカで感染が拡大した場合、アメリカ経由で日本にはいってくることはないのか。
 アメリカにおける感染者発生の報告は、遠いと思っていたアフリカの出来事が、日本に大きくにじり寄ってきたことを実感させる。

■問われる「感染疑い」への対応、脆弱な日本のインフラ

 後述するが、日本にはエボラ出血熱を確定診断できる検査施設がない。
 厳密に言えば、今後アメリカで感染が拡大した場合、日本は、海外に送った検体の検査結果を待ちながら、発熱と渡航歴で拾う「感染疑い例」を、たったの92床で管理していくことになる(注:文末参照)。
 これから、エボラ出血熱の初期症状と似た訴えのインフルエンザのシーズンにも入る日本において、92というベッド数は妥当なのだろうか。

 エボラ出血熱の症状は、38・6度以上の発熱、激しい頭痛、筋肉痛、脱力感、下痢、嘔吐、腹痛、原因不明の出血傾向。
 発症初期にすべての症状が出そろうことはなく、インフルエンザなどの、他のウイルス性疾患と変わりがない。
 このため、アメリカでもインデックス・ケース(最初の症例、リベリア人男性のこと)が、「何かのウイルス感染症でしょう」ということで、いったんは家に帰され、感染拡大のリスクを広げてしまった。

 エボラウイルスが国全体に広がって被害が深刻なのは、ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国。
 WHO(世界保健機構)の発表によると、
 2014年10月8日現在(10月10日にアップデート)、
 8400名の患者(うち4656名が陽性確定例)が報告され、4033人が死亡している。

 しかし、アメリカのような医療水準を満たさない
 ナイジェリアとセネガルの2国においてさえ、なぜかエボラの感染は拡大しなかった
 ナイジェリアでは20人のエボラ感染者が確認されて8人が亡くなったが、アウトブレイクは地域に限定して収束。
 セネガルでは、エボラ患者が60人以上と接触していたが、結局、発症したのはその1名だけで、命も取り留めた。
 アメリカのインデックス・ケースも、発症後4日間は隔離されることがなかったが、今のところ、この患者をケアしていた看護師以外のケースは報告されていない。 

 状況証拠からすれば、エボラウイルスは同じ飛行機に乗ったり、町ですれ違ったりする程度で簡単にうつることはなさそうだ。
 また、不幸中の幸いなことには、潜伏期間の感染力は無いと見られている。
 現時点で言えることは、飛沫で感染し潜伏期にも感染力持つ新型インフルエンザとは異なり、
 エボラ出血熱の場合、たとえ日本に入ってきたとしても、一般人の間で感染が広がる可能性は低い、ということだ。
 現在、先進国で感染者が出たのはアメリカとスペインの2か国。
 いずれの国においても、先進国で感染したのは医療者だけだ。
 日本においても、当面、ハイリスクなのは医療者のみと考えてよいだろう。

 一方で、エボラウイルスの潜伏期間は2日から21日と幅があり、
 今後も渡航者の中から別の患者がアメリカ国内で報告される可能性は否定できない。

 エボラ出血熱は、エボラウイルスに感染した人や動物の体液(血液、尿、唾液、汗、便、吐瀉物、母乳、精子等を含む)に、直接接触することで感染する。
 アフリカでは、野生動物の食肉習慣やウイルス感染したコウモリとの接触、死者に抱きついて弔う風習などが、山間部や貧困地域での感染を特に拡大させているとも言われる。
 そのため、先進国一般人の間で、エボラ出血熱がアウトブレイクを起こす可能性は低い、という見方があるものの、感染を拡大させないために、検疫や国内で「感染疑い例」をどのように拾い、管理していくのかについては大きな議論もある。

 原因に関わらず、アフリカを出国するときには無症状でも機内で発熱し、日本に到着する前に頭痛や嘔吐が始まる人はいくらでもいる。
 こういった患者と、類似症状を示すマラリアやデング熱などの熱帯感染症、ひいてはインフルエンザなどのコモンなウイルス感染症と鑑別することは不可能。
 アメリカではすでに、アフリカ帰りの旅行者や現場で働く医療者が、次々と発熱や嘔吐を訴え、混乱をきたしている。

 西アフリカでの感染拡大がとどまらず、アメリカ国内での感染拡大の行方が不透明な中、いつまで国際社会がエボラを警戒する必要があるのかは現時点では予測不能だ。

 アフリカから、場合によっては今後、アメリカからの帰国した発熱患者もすべて隔離し、「エボラ疑い」として管理し続けていくことは、日本のインフラでは簡単なことではない。
 いつから検疫強化が必要と判断し、どの段階で必要がないと判断するのか。
 検疫の水際作戦をくぐって発熱し、来院した患者に対して、日本の医療者は適切な体制をもって対応し、感染拡大を防ぐことができるのだろうか。

 アメリカと日本とでは、エボラウイルスが持ち込まれた場合の事情が異なる。
 エボラウイルスを取り扱えるのは、「BSL-4」(BSL=Bio Safety Level)と呼ばれる、排気や廃液の特殊設備をもつ検査・実験施設。BSL-4のバイオセイフティを持つ施設は、世界でも41か所、アメリカですら4か所しかない。
 日本では国立感染症研究所ただ1か所がその基準を満たしているが、住民の反対でBSL-4としての使用を認められていないからだ。
 厳密に言えば、現状では、エボラ出血熱を疑う患者が見つかった場合、海外に検体を送り、確定診断が出るのを待つしかない(注:文末参照)。

 92床しかないエボラ対応ベッドを少しでも有効活用するためには、BSL-4として感染研を稼働させる必要がある。
 エボラ出血熱のアウトブレイクに先だち、日本学術会議は今年3月20日、「我が国のバイオセーフティレベル4(BSL-4)施設の必要性について」と、題した提言書を提出している。

 アメリカが先進国の先頭を切って「封じ込めのお手本」を示すことができるのか、世界の注目が集まる中、日本の医療者の間でも緊張はつのる。

■CDCとWHOのビミョウな関係

 アメリカ政府はこれまで、さまざまな病原体がバイオテロの手段や化学兵器となりうるとして、感染症対策を軍事と結びつけてきた。
 今回のアウトブレイク(大流行)においても、これをいち早く国防・外交上の重大な問題として捉え、積極的な行動に出ている。
 9月16日、オバマ大統領は、エボラ出血熱の最流行地域であるリベリアに3000人の軍隊を派遣することを発表して、国際的なプレゼンスを示した。

 一方、医療・保健分野における国際的な最高権威であるWHOは、新型インフルエンザやSARSの時に比較すると、今回、あまり目立った印象が無い。
 実のところ、WHOと一国の保健機関に過ぎない米CDCとは、以前からライバルの関係にある。
 WHOは、原則、キャパシティの低い国でアウトブレイクが起きた場合、各国政府の要望に応じてサポートやアドバイスを行ったり、パンデミック(世界的大流行)が懸念される際に国際社会における統括的役割を果たしたりする国連専門機関。
 しかし、WHOの呼びかけに応じて他国からの十分な援助がある場合や、アメリカのような先進国でアウトブレイクが起きた場合、WHOのプレゼンスは自ずと下がる。
 国際社会からすれば、WHOの出番がないままアウトブレイクが終息するに越したことはないが、WHOにとってみれば、一国の保健機関に国際機関以上の代役を務められては、沽券に係わる。

 WHOスタッフの任地は、通常、各国の首都止まり。
 本当の意味での「フィールド=僻地」に行くのは、WHOが要請した各国の専門家に限られている。
 しかも、各国の専門家が「フィールドに行く」という場合でも、政府に助言して国際的な対策をとるための視察にとどまることが多く、ロジスティックスや医療行為など、現場の仕事に継続的に従事することはまずない。
 軍隊との連動も可能なCDCに比べれば、WHOは専門性は高くとも、実働部隊を持たない役所的機関だ。

 そもそも、WHOのスタッフやWHOが協力を要請する専門家には、資金力も政治力もあるCDCの出身者が多い。
 だったら、CDCを最初から頼りにする方がいい、という発展途上国も多いが、迅速な国際協力との引き換えに、政治的な駆け引きが後からついてくるということは少なくない。

■そして、日本の取るべき道は?

 オバマ大統領が国際協力を表明した10日後の9月26日、安倍総理大臣は国連で一般討論演説を行い、エボラ出出血熱対策として、国連などに総額4000万ドル (日本円で約44億円)の追加支援を実施することを表明した。
 演説の中で安倍首相は、
★.防護具約50万着のほか、
★.エボラの治療に効果が見込める富山化学工業の「ファビピラビル」を提供する準備があるとし、
★.「日本からはすでに経験の豊富な専門家をWHOの一員として派遣した。
 今後もエボラ出血熱との闘いに日本政府は能う限りの力を尽くす」
との決意を語った。

 金と物の援助はさておき、気になるのは、今後、日本に期待される人的貢献だ。

 アメリカに追随するような形で援助を表明した日本ではあるが、世界でエボラウイルスに感染した医療者の数は、12日付で報告されたテキサス州の看護師のケースを加えると合計418人。
 うち234人がすでに死亡している。
 派遣した専門家が発病した場合、安全に日本に輸送し、パニックを起こさず、国内での感染を広げずに治療を受けさせることは本当に可能なのか、といった課題も残る。

 アメリカにおいて医療者の院内感染が生じ、封じ込めがおぼつかない状況の中、本当に「ウイルスを持ち込むリスク」を負ってまで、日本から専門家を派遣する必要があるのか、改めて政治判断が問われるところだ。

【編集部注】
 厚生労働省は、
 「感染疑い段階の検体は感染研で取り扱うことができ、簡易診断までは行うことができる」
としている。
 ただし、確定診断を下し、その後の治療につなげていくためには、ウイルスを抽出・分離した状態で扱うことが必要になるが、BSL-4レベルの第一種病原体等取扱施設としての指定を受けていない感染研ではエボラウイルスを扱うことができない。
 早急な指定が必要である。(2014年10月16日18:45)



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年10月18日(Sat)  村中璃子
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4329

エボラ出血熱・パンデミックへの道
先進国はアウトブレイクを阻止できるか
エボラ特集第2弾

 欧米諸国における、エボラ出血熱二次感染、三次感染の情報が錯綜している。
 先進国でエボラがアウトブレイク(流行)に至るのか、世界が固唾を飲んで見守っている。


●アフリカではコウモリ、アンテロープ、リス、ハリネズミ、サルなど様々な野生動物を食べる習慣がある。エボラ出血熱の起源はアフリカの密林に生息するコウモリにあると言われている。
(c)Thierry Gouegnon/REUTERS/AFLO

 アメリカは、国内での感染例として、エボラ患者のケアにあたっていた看護師2名の感染を相次いで発表。
 アメリカに続き、スペインとフランスでも、リベリア帰りの神父や慈善運動家が発症を疑われ、彼らの接触者も検査、観察の下にあるという。

 悪いニュースは、先進国での感染者の報告が増えていること。
 良いニュースは、先進国で感染し、発症した患者の確定診断例が、未だに医療関係者に限定されていることだ(10月18日現在)。

 米疾病対策センター(CDC)をはじめとした世界の保健当局は、エボラ出血熱は、感染はしているが症状の無い「潜伏期」の患者に感染力はないと主張している。
 また、感染は患者の体液が目、鼻、口、性器などに触れることが無ければ起きないため、一般人が患者と同じ店や飛行機に居合わせたり、町ですれ違ったりすることはリスクではないする。
 発症初期の、発熱しか症状のない段階での感染力はゼロではないが低いとの見方も強い。

 アメリカで発症した最初のケースは、潜伏期に検疫を潜り抜けたリベリア人男性だった。
 最初に受診した外来では「ありふれたウイルス感染症」との診断を受けて自宅に帰され、発症後4日もの間、隔離されることがなかった。
 隔離されたのは、9月28日。
 10月18日現在、すでに潜伏期の上限である21日をほぼ経過しているので、今後、この患者からの二次感染が報告される可能性は低い。
 このことからも、エボラが持つ感染力は、インフルエンザなどのありふれた病気以下であることが窺える。

 だからこそ、オバマ大統領はアフリカからアメリカへの飛行機はストップさせないことを改めて強調している。
 その結果、今日もアフリカからアメリカへの人の流入は続いている。
 西アフリカでのエボラ患者数は増加しており、新たな潜伏感染者が米国に入国し、同じ騒ぎが繰り返される可能性は高い。

 エボラ出血熱は、1976年ころから知られている病気。
 医療水準の低さ、野生動物の食肉習慣や死者に抱きついて弔う風習といったアフリカ独特の状況を背景に、アフリカ大陸の中だけで時折、流行しては収束するローカルな病気であった。
 それが、今年の8月から感染者が急増。患者は大陸を越え、万全と思われていた先進国の医療体制の中で、静かに感染を広げ始めた。

 米CNNの報道によると、アメリカ国内感染2例目の看護師は、エボラ感染が確認された前日(10月13日)に航空機に乗っていた。
 搭乗の際、微熱があるとの申告を受けたが、熱が規制値まで高くないとして搭乗を制止しなかった。
 その後、16日になってCDCは「10日の段階で発症していた可能性も否定できない」と情報を修正。看護師の接触者の調査対象を拡大している。
 感染症における体温の上昇は、体内でウイルスが増殖していることを意味する。
 エボラ患者の発熱として定義された「38.6度」に達する前に、患者は感染力を持たないのか。
 何度の発熱をスクリーニングの際の定義とするのか。
 症状は微熱だけで、感染リスクの高まる下痢・嘔吐などの症状はなかったのか。当局の発表すら錯綜しており、不安はつのる。

■エボラウイルスは「変異」している?

 今回のアウトブレイクに限って拡大しているのはなぜか、という問いがある中、エボラの遺伝子変異に関する報告が一流の専門誌に上がり始めている。

 たとえば、今年9月、『サイエンス』誌にハーバード大学のグループが発表した論文*(詳細は文末参照)によれば、現在、西アフリカで流行しているエボラ株は、2004年に中央アフリカでアウトブレイクを起こしたウイルス系統のもの。
 人や動物との間で感染を繰り返しながら、ギニアを経由してシエラレオネに到達する間に、
 多くの遺伝子変異を起こし、「人から人へうつりやすい性質」に変化を遂げている可能性がある
という。
 ただし、巷間取り沙汰されている「エボラは空気感染する」という仮説に今のところ証拠はなく、エボラは接触感染のままだと見てよい。
 歴史的に見ても、接触感染が空気感染になるなど、感染様式そのものを変化させるほどの大きな遺伝子変異を遂げたウイルスは確認されていない。

 日に日に騒ぎは大きくなっているが、現在の先進国における状況は、単に「エボラの散発例が確認された」というだけ。
 しかし、今後は、たった2つの条件がそろうだけで、事態は「アウトブレイク」と呼ばれる状況に発展していく。

★.そのひとつは
 医療者ではなく、一般人の間で二次感染が起きること。
 現在、エボラで想定されている感染様式や臨床経過では、感染初期に患者を隔離すれば、一般の人の間で次々と感染者が出る可能性は低い。
 それなのに、感染が起きたとなれば、感染様式や感染力に関する評価そのものがゆるぎ、対策そのものの正当性が問われることになる。

★.もうひとつは、
 ある国のある地域に限定された報告ではなく、全土で感染者が報告されるようになることである。
 テキサス州の中だけで感染者が出ている分にはまだよい。
 これがアメリカの他の地域の、特に一般人の間で感染者が報告されたとなれば、警戒すべき拠点が増え、管理はより難しくなるだろう。

 ある感染症が限定した地域でアウトブレイクするのではなく、先進国を含めてグローバルに流行することを「パンデミック(世界的大流行)」と呼ぶ。
★.歴史上、パンデミックを起こし、多くの死者を出したウイルスはインフルエンザだけ。
 2009年の新型インフルエンザのパンデミックでは、幸いなことに当初の予想よりも病原性が低く、広がるだけ広がったが、季節性インフルエンザ並みの被害で終わった。
 しかし、エボラは致死率が極めて高く、病原性の高いウイルスであることはすでに疑う余地がない。

★.ヒトからヒトへと移りやすい性質に変化を遂げているエボラウイルスは、パンデミックのポテンシャルを持つ。
 欧米各国は、検疫や病院での早期発見体制を確立し、医療従事者の安全を担保して、
 エボラの「早期封じ込め」に成功するのだろうか。
 新型インフルエンザが病原性の低さに助けられたように、接触感染という比較的うつりづらい感染様式に助けられて事態は収束するのか。

 日本では、飛行機の往来の少ない西アフリカでのアウトブレイクを、同情の混じったのんびりした気持ちで見ていた。
 しかし、アメリカや欧州の各地で感染が広がり、アウトブレイクとなれば、日本への感染拡大のリスクも一気に増す。

 先進国が自国内でのアウトブレイクの阻止に失敗すれば、それは一国とエボラとの戦いから、
 「人類」とエボラとの戦い
と大きくフェーズを変える
ことを意味する。

 今が正念場だ。



WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年10月20日(Mon)  村中璃子
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4332?page=1

エボラ出血熱:水際作戦の徹底を放棄した米国
エボラ特集第3弾

 「事態が収束する前に、さらなる感染者の隔離がアメリカで行われるのを見るだろう。
 しかし、我々は西アフリカと距離を置くことは出来ない。
 渡航禁止令は事態を悪化させるだけである」
 オバマ大統領は10月17日の土曜日定例演説において、リベリア、シエラレオネ、ギニアとの往来を禁止すべきとの議会筋の要求を退け、渡航禁止令を出す意向は無いことを明らかにした。
 アメリカは事実上、エボラ水際作戦の徹底を放棄したことになる。

 オバマ氏は先日、エボラとの戦いに4000人規模の部隊を派遣するとして、アメリカの国際的なリーダーシップを示したばかり。
 国内のパニック収拾と引き換えに、一度切った啖呵を元には戻せないという事情もあるだろう。
 しかし、冷静に考えれば、渡航を禁止しない現在の状態であっても、
 感染者は医療者2人を含むたったの3人。
 検疫は完璧ではないという前提に基づき、国内におけるエボラ患者の早期発見を徹底し、封じ込めを目指す形に切り替えたのだと見てよい。

■「罹っても回復する」という実績を積み上げる

 この決断からはいくつかの事情がうかがえる。
 ひとつには、国内でエボラに対する恐怖感が高まる一方で、
 早期にエボラと診断して治療を開始すれば、高率に回復する病気である事実が見えてきた
ことである。

 アメリカのインデックスケース(最初の患者)であったリベリア人男性は、初診で別のウイルス性疾患と誤診され、治療開始が遅く、死亡した。
 しかし、二次感染例の2名の看護師はいずれも発熱した段階で早々に治療を開始され、現在も安定した状態にある。
 スペインからも、20日、二次感染した看護師が回復したとの報告があがっている。

 アメリカ一国がアフリカとの渡航禁止をひいたところで、西アフリカでのアウトブレイクが収まらないことには、水際防御は100%とはならない。
 他の国を経由し、潜伏感染の患者が巡り巡りってアメリカに入り込む可能性をゼロにはできないからだ。
 西アフリカを置き去りにして嵐が去るのを待つよりも、積極的に支援を送り、エボラ感染者が入国するリスクの元を絶つ。
 感染者を早期に発見し、「罹っても回復する」という実績を積み上げることで、少しずつ医療者の不安を緩和する。
 その間、トレーニングも進み、医療者の方も患者の扱いにも慣れてくる状況を作るという目算だろう。

 10月19日、日本からも、ドイツにある米アフリカ軍の司令部に自衛隊員を連絡要員として派遣することを検討しており、早ければ今週中にも派遣して感染状況などの情報収集を進めるとの報道があった。

■パンデミックは「国防の問題」

 そもそもアメリカが初動から軍隊を派遣するのは、パンデミック(世界的大流行)を想定しているから。
 アメリカの要請を受けた日本も、その趣旨に同意して自衛隊を派遣することになったと言ってよい。
 エボラが日本に上陸してアウトブレイクし、日本がパンデミック(世界的大流行)の一端を担う事態が起きた場合、事態収拾の中心となるのは自衛隊だ。

 パンデミックは最悪の場合、医療従事者の感染が相次ぎ、増加する患者に対応しきれなくなって、医療施設も足りなくなる事態に至る。
 感染していな人は、食糧や水、生活必需品を準備して、自宅に籠城することを求められる。
 患者の治療は、近頃テレビで盛んに紹介されている、厳重管理のエボラ対応室どころか、学校の体育館や公民館などで対応することにもなりうる。
 その時、エボラは地震や原発事故、戦争のように、もはや医療の問題ではなく、治安の問題となる。
 軍隊の派遣には、現在のアフリカでは「パンデミック」という最悪の未来図がすでにローカルに実現されており、実働部隊がそれを具体的に思い描くことができるようにするためという意味も込められている。

 世界はこれまでも、パンデミックの問題は、各国の厚労省が担当すべき医療の問題ではなく、防衛省をはじめとする各省庁が連携すべき「国防の問題」として準備されてきた。
 次にパンデミックを起こすのもインフルエンザだと誰もが思っていた。
 それが、現実には、アフリカローカルの病気だったエボラ出血熱がおかしな動きを見せている。
 軍隊派遣は、各国が「エボラ出血熱パンデミック」も視野に入れた検討を開始し、国防の問題として重くとらえ始めていることを意味する。

 アメリカに同調し、エボラへの人的な国際協力をする以上、不幸にも感染する日本人が出てくる可能性は高まる。
 アフリカから治療のために搬送されるのであれ、潜伏期の患者が検疫を潜り抜けるのであれ、最初のエボラ患者が日本に入ってくる前に鎖国体制をとらない限り、日本政府がエボラと直接対峙しなければならない状況は訪れる可能性がある。
 そうなれば、日本にも、今の欧米諸国が受けているのと同様の、アウトブレイク封じ込めの試練が訪れることだろう。

 8月には西アフリカのローカルなアウトブレイクと高をくくっていたエボラが、数か月のうちに先進国に飛び火した。
 もちろん、騒ぎとは裏腹に、先進国の現状は「散発例が発生しているだけ」の安定した状態。
 しかも、その散発例の多くが回復している。
 エボラの病態が当初の予測通りであれば、先進国で次々と感染者が報告されることはない。
 早期発見・早期治療のストラテジーが効を奏し、アフリカ大陸の外でのアウトブレイクは阻止できる可能性も高い。
 とはいえ、グローバル化の中で、古典的な水際対策や鎖国政策が現実的ではない今、日本でも、あらゆるシナリオを想定したエボラ患者受け入れ態勢づくりが急がれる。

【編集部注】2段落目「リベリア、シエラレオネ、ギニアとの往来を禁止すべきとの司法筋の要求」とありましたが、正しくは議会筋でした。訂正の上お詫びいたします。(2014年10月21日12:21)



サーチナニュース 2014-10-18 05:55
http://news.searchina.net/id/1546289?page=1

中国人、なぜエボラに関心持たない?
・・・「野蛮人の疫病と思っているから」=国外在住の専門家が自国民批判



 香港に拠点を置く衛星テレビ局の鳳凰衛視(フェニックステレビ)が運営する情報サイト「鳳凰網」は16日、カナダ在住の中国人のアフリカ問題専門家の陶短房氏による
  「中国人はなぜ、エボラエボラに関心を持たないのか?」
と題する論評を掲載した。
 陶氏は、
 中国人にはアフリカ人に対する差別感情があり、
 アフリカを「閉ざされた大陸」とする誤った認識をしている
と指摘した。

 陶氏は、中国の経済高度成長に伴い、アフリカと中国の経済関係は未曽有の発展をしたと紹介。
 アフリカには中国製品と中国人建設作業員が満ち溢れていると指摘。
 しかしアフリカでは中国人に対して、現地社会に溶け込もうとせず、
 「門を閉ざして自分たちだけで暮らす」、
 「アフリカ人やアフリカ人の生活を理解しない。理解しようともしない」
という怨嗟の声が聞こえてくるという。
  陶氏はさらに、アフリカとの経済関係で直接、間接の利益を得ているにも関わらず、多くの中国人はアフリカやアフリカ人に対して
 「距離を置き、差別視している」
と指摘。
 そのため、エボラ出血熱の流行も
 「アフリカの内部で流行しているだけ」であり
 「未開人、野蛮人の疫病だ」
と認識する現象が発生しているという。  

 エボラ出血熱と中国が無縁でいられないことについてはまず、多くの専門家が、エボラ出血熱のウイルスがアフリカ外に出ていく可能性は否定できないとみなしていると紹介。
 中国とアフリカのつながりを示す数字としては
 「アフリカで暮らす中国人は数百万人。
 (エボラ出血熱流行の中心地である)シエラレオネ、ギニア、リベリアにいる中国人は1万人
であることを挙げた。

   陶氏はエイズとエボラ出血熱の危険度を比較。
 エイズの場合には「感染防止に注意すれば防げる」と指摘した上で、エボラ出血熱は
 「接触しただけで感染する。
 (感染者が搭乗しただけで)旅客機を通じて1晩のうちに千里のかなたに伝わってしまう」
と論じ、
 「エボラ出血熱の方がエイズよりも危険」
と主張した。

  中国ではHIVの感染者が増え続けており、しばらく前から、
 すべての感染症による死者数のうち、エイズによる死者数が連続して第1位だ。
 陶氏は外来のウイルスであるHIVが中国も深刻な被害を発生させているという現状を踏まえて、エボラ出血熱の流行は中国にとって決して「他人事」ではないと説明した。
  陶氏はエボラ出血熱の状況について、
 「サハラ以南のアフリカの現状は、貧困で遅れており、単独では病魔に対抗できない」、
 「国際組織やボランティアの努力にも限界がある」
ことは事実であるとの見方を示し、だからこそ、さらに多くの支援が必要と指摘。
 貧困な地域における伝染病の流行は、世界中に広まっていく危険を伴っており
 「他人の不幸が、いつも自分とは離れた場所にとどまっていると考えていてはならない」
と主張した。

  陶氏は、中国の動き全体としては、医師団の派遣や必要品の援助などで
 「多くの尽力、物力、財力を投入している」
と一定の評価をしたが、中国の医療体については、「集中、統一、組織」という特徴があり、これまでは非常に有効だったが、現在のエボラ出血熱の流行については、現地の医療機構や他の国際援助組織との協力などの面で限界が出ていると指摘した。
 また、中国の一部の製薬会社が現地で、エボラ出血熱の流行を「商機」と考え、「エボラ出血熱治療の秘密の薬がある」などとして販売促進活動をしていると指摘。
 「このようなふざけたやり方に、中国人もアフリカ人も怒っている」
と論じた上で
 「中国の大衆の、(エボラ出血熱の)流行状況と危険性についての関心を減じる、大きな悪影響をもたらしている」
と主張した。
 中国ではこれまで、当局関係者がエボラ出血熱について、
 「国内に感染者がいても、すぐに発見できる。
 感染が拡大する恐れはない。
 すでに準備はできている」
などと発言してきた。
  陶氏は、アフリカ多くの中国人が暮らしている一方で、国内ではエボラ出血熱の危険性に対する警戒感が高まらないことを深刻視し、
 「エボラ出血熱への対応で、中国は自信を持って『われわれは準備ができている』と表明することができるのか?」
と、改めて問いかけた。



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月22日 7時22分
http://www.recordchina.co.jp/a96117.html

エボラ出血熱、専門家「アジアや中国への拡大は時間の問題」―中国メディア

 2014年10月21日、財新網によると、中国疾病制御センター副主任の高福(ガオ・フー)氏は、エボラ出血熱の感染拡大について
 「アジアや中国に入ってくるのは時間の問題だ」
と警鐘を鳴らした。

 高氏は
 「中国にエボラ出血熱が拡大する可能性は一貫して大きい。
 中国はアフリカに実験室を開設し、感染拡大の原因を制御すべきだ」
と述べた。
 中国政府は9月、シエラレオネの首都フリータウンに高氏をリーダーとする研究チーム59人を派遣していた。
 高氏は
 「中国に拡大する危険性は非常に高く、爆発的に感染が拡大する恐れがある」
と予測している。
 一方で、アフリカでは基礎的な医療設備が不十分であることが感染拡大に拍車をかけているため、中国では
 「患者との接触をきちんとコントロールすれば危険性は下がる」
ともしている。

 世界保険機関(WHO)は今月17日に発表したデータによると、
 エボラ出血熱による犠牲者は全世界で4555人
に達している。



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