2014年10月13日月曜日

「釣魚島は核心的利益ではない」:人民解放軍元中佐が中国の反日政策を批判!

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レコードチャイナ 配信日時:2014年10月13日 13時56分
http://www.recordchina.co.jp/a95528.html

<書評>「釣魚島は核心的利益ではない」人民解放軍元中佐が中国の反日政策を批判!
―李東雷著『中日対話か?対抗か?』


●日本人の多くは「中国の世論は反日一辺倒」と思い込んでいるが、実際は中国にも多様な意見がある。
  本書は中国国内で大きな議論を巻き起こした、中国人民解放軍元中佐のブログ論文を書籍化したもの。
 日中間に横たわる領土問題や歴史認識問題に一石を投じている。

 日中関係が緊迫化する中で、日本人の多くは「中国の世論は反日一辺倒」と思い込んでいるが、実際は中国にも多様な意見がある。
 本書は中国国内で大きな議論を巻き起こした、中国人民解放軍元中佐のブログ論文を書籍化したもの。
 日中間に横たわる領土問題や歴史認識問題に一石を投じている。

 2014年1月、
 「現代日本の妖魔化と対日外交政策の失敗」
と題するブログ論文が中国のネット上で公開され、大きな論争をもたらした。
 筆者はかつて人民解放軍に所属し、中国政府の職員として訪日経験もあるエリートである。

 本書は「軍国主義」の定義について、
(1):対外的には好戦的でみだりに武力を使い国土の拡張を図る、
(2):国民は国家への滅私奉公を求められ、私権、人権、言論の自由が奪われる、
(3):内閣の要人は軍人が担当する
―など12項目を掲げ、
 「今の日本は一つも当てはまらない」
と指摘。
 中国が経済面で日本を利用する一方、
 政治面で日本を押さえつけるため、歴史問題をことさらクローズアップし活用してきた、
と冷静に分析している。

 その上で、
 「日本を軍国主義化していると看做(みな)す中国の政策は間違っている」
と鋭く批判、。
 中国のこれまでの外交・教育は「失敗した」と断じている。
 中国共産党の歴史(功績)を中心に教えるあまり、「平和国家」としての戦後日本の歩み、日本の貢献を伝えず、「反日教育」によって対日嫌悪感情を煽ってきた、と舌鋒鋭く切り込んでいる。

◆米国が日本占領関与を中国に要求

 本書の圧巻は第5章「中国はどのようにして日本による侵略史を清算する機を逸したか」と
 第6章「釣魚島、中日に間に戦争なし」の2つの章。
 前者は、戦後米国が同じ戦勝国の中国(当時は中華民国)に日本に占領軍を派遣するように政権に要求。
 1946年5月に国民党軍の先遣部隊が日本に派遣されたが、その直後に国共内戦が発生したため先遣隊は帰国を余儀なくされ、中国が日本の占領政策に関与するチャンスを失った、という。

 6章では
 「釣魚島(尖閣諸島)は「最優先すべき核心的な利益ではない」
と指摘。
 同島は「中国の領土」としながらも、
 「中国の支配下を離れてからすでに百年余りが過ぎたが、
 これほどの長い間、釣魚島は中国の国家の安全と利益に影響を与えただろうか?」
と問題提起した。
 その上で、1972年の国交正常化時の周恩来首相・田中角栄首相会談で「棚上げ」の共通認識があったこと、1978年の平和友好条約締結の際、トウ小平副首相が「主権の争いは棚上げし、子や孫の世代の解決を待てばいい」と語ったことなどを紹介。
 日中2カ国が優先順位の高くない「核心的利益」のために戦争をするとしたら、これはまったく正気の沙汰とは思えない」と結論付けている。

◆日本が多大な経済・技術援助

 さらに、日本が中国の改革開放以来、多大な経済的技術的な援助をしたことを列挙し、「これが核心的な利益に合致していた」と強調。
 その上で、「双方とも『反日』『反中』といったステレオタイプの思考回路から抜け出し、等身大の相手の姿を探し続ける努力が必要ではないだろうか」
との呼びかけている。

 本書の巻末に付けられた読売新聞中国総局・牧野田亨特派員の解説によると、この論文(ブログ)が発表された直後、「お前は売国奴だ」と非難する意見の一方で、「理性的で貴重な意見だ」と評価する声も多く、賛否は半々だったという。
 この論文が中国当局によって問題視されず、今もネットで閲覧できるというから、日中関係の打開に向け、偏狭で感情的なナショナリズムを抑制する方向へ、動き出したのかもしれない。
 「日本側にもこうした中国の実情をよく観察し、安易な反中国感情の高まりを抑える努力が求められている」(牧野田特派員)
といえよう。

(評・八牧浩行) <日本僑報社刊、税別1500円>


 中国の外交は客観的にみて「シロウト外交」である。
 相手との共通点を見出し、自分の味方にするという視点が全く抜けている。
 ただ自己主張だけ大声でして、相手を敵側に追いやることだけに専念している。
 そのスタンスにより、2/3世紀にわたって眠っていた日本という小龍を目覚めさせてしまった。
 それまでの
 「おわびと反省の国」から「普通の国」へと誘導
してしまった。
 やらなくてもいいことをやってしまっている。
 日本を頑なにさせることがどんなに危険なことか、外交シロウトの中国には見えていない。
 成金の思考で、ただ自分の正当性を主張する論理だけで動いている。
 外交とは相手があって成り立つものである。
 今の中国は、
 残念なことだが相手のある交渉、
 すなわち外交ができない状態
に陥ってしまっている。



ロイター 2014年 10月 10日 12:35 JST by Julia Famularo
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKCN0HZ06U20141010

コラム:中国の「火薬庫」は香港にあらず

[8日 ロイター] -
  香港で民主化要求デモが続く中、その動きが中国本土のチベット自治区や新疆ウイグル自治区に飛び火するのかどうかが注目されている。
 香港のように、こうした地域もかつて自治拡大が約束されたが、今なお完全な実現には至っていない。

 1931年の中華ソビエト共和国憲法大綱は、領土内の少数民族に対し、分離する権利と自決権を認めていた。
 しかし、1949年に中華人民共和国が成立する時までには、毛沢東はこうした権利を撤回。少数民族の住む地域を併合し、チベットとウイグルの自治を認めるとした。
 だが、中国政府は約束した権利と自由を与えず、法の支配を守っていないという批判を受けている。

 中国は、新疆ウイグル自治区やチベット自治区に「一国二制度」を適用しようとはしてこなかった。
 1984年に施行された民族区域自治法は理論上、自治の権利をすでに保障しているため、一国二制度は適当ではないと主張している。

だが実際には、中国当局はチベット族やウイグル族に、民族的、宗教的、言語的な制約を課している。

 かつて当局が無害だとみなしていた伝統的アイデンティティーの発露が、今では破壊活動の1つとみなされつつある。
 中国政府は国家への揺るぎない忠誠を求め、広範囲な愛国的、教育的活動を通じて「民族の団結」を訴えている。

 しかしながら、この政策は効果があるとは言えず、持続しないことが証明されつつある。
 習近平氏が2012年11月に中国共産党トップの座に就いて以降、抗議活動や混乱が劇的に増加。チベット自治区では、少なくとも127件の焼身自殺が発生した。
 その多くが自由拡大やダライ・ラマ14世の帰還を求めて自らに火を付けたが、中国当局は犯罪とみなした。
 焼身自殺を図った人の友人や家族までが、政治的に迫害されたり行方不明になったりしている。

 一方、新疆ウイグル自治区では62件の暴動事件が発生。
 その大半は民族間の暴力か、個人もしくはウイグル族の小集団と警察との衝突だった。
 当局は今年5月、「対テロ戦争」を展開すると宣言した。

 少数民族が平和的に不満を表現できる効果的なメカニズムが導入されない限り、緊張は続くとみられている。
 だが、新疆ウイグル自治区やチベット自治区、そして香港のデモや混乱の責任は「敵対的な外部勢力」にあると中国政府は断固として主張する。

 こうした中国の自治区は一触即発の「火薬庫」となっており、対話や改革がなされなければ、1つの衝突が大爆発を引き起こしかねない。

 では、香港のデモが火付け役になり得るだろうか。
 そうはならないだろう。

 インターネットを使いこなす上海市民の一部なら可能かもしれないが、平均的なチベット族やウイグル族が、デモや市民運動に関する情報を入手することは困難だ。

 また、現地住民へのあからさまな政治圧力により、そうした問題についての議論もしにくくなっている。
 うわさを流布したとして逮捕される可能性もあるからだ。

 ウイグル族やチベット族の集団が自治区内の主要都市を占拠しようとするなら、当局は容赦しないだろう。
 催涙ガスだけでは済まない可能性が高く、自治区の指導部と交渉する機会が得られるとは考えにくい。

 香港のような抗議活動がすぐに広がる可能性は低いが、中国政府の政策が逆効果を生み、暴力につながりかねない社会不安は今後も尽きないだろう。

 亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は「中国との対話」を模索し続けるとし、
 「われわれが独立を強く求めるなら、血の海を見ることは明らかだ。
 その場合、ウイグル族も漢民族も同様に犠牲となるだろう」
と語っている。


*筆者は米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」のリサーチ・アフィリエイトであり、ジョージタウン大学で現代東・中央アジア政治史専攻の博士候補。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



【描けない未来:中国の苦悩】



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