2014年11月22日土曜日

「中国発スーパー不況」は来るのか(3):思うようにならない中国の景気テコ入れ、2年4カ月ぶり利下げ






朝日新聞デジタル 2014年11月21日23時38分
http://www.asahi.com/articles/ASGCP6JN5GCPUHBI02W.html

中国、2年4カ月ぶり利下げ 景気減速に危機感

 中国の中央銀行、中国人民銀行は21日、翌日から金融機関の預金・貸し出しの基準金利を引き下げると発表した。
 利下げは欧州危機の影響があった2012年7月以来、2年4カ月ぶり。
 企業や個人がお金を借りやすくして、減速が深刻さを増している景気を下支えする狙いだ。

 1年物では、貸出金利は0・4%幅下げて年5・6%に、預金金利は0・25%幅下げて年2・75%にする。
 貸出金利の下げ幅を大きくして資金繰りをしやすくする一方、預金者が被る不利益を少なくし、消費に悪影響を与えないようにした。
 中国は昨年7月、貸出金利を金融機関が自由に決められるようにしたが、人民銀の決める基準金利が引き続き、目安に使われている。

 中国では今春から始まった不動産価格の下落が、景気の深刻な減速を招いた。
 7~9月の国内総生産(GDP)成長率が7・3%と5年半ぶりの低水準に下落したのに続き、10月の経済指標も軒並み、さらなる減速を示していた。



ロイター 2014年 11月 22日 02:59 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0J50ZO20141121

中国人民銀が予想外の利下げ、景気てこ入れへ

[北京 21日 ロイター] -
 中国人民銀行(中央銀行)は21日、予想外の利下げを発表した。
 景気減速兆候が強まる中、てこ入れで経済を支援する。
 主要政策金利の引き下げは約2年ぶり。
 借り入れコストを押し下げ、減速する経済を支援する。

 1年物貸出金利は40ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.6%、1年物預金金利は25bp引き下げ、2.75%とし、22日から実施する。
 人民銀は、「資金調達の難しさ、高水準な資金調達コストは引き続き実体経済における問題として際立っている」と指摘。
 また、金利の自由化を進めるとして、預金金利の上限を基準金利の1.1倍から1.2倍に引き上げる方針を示し、預金者に配慮した。
 リーマン・ショック後の2008─2010年にかけ、中国政府が景気刺激策を打ち出すなか、各企業とも多額の借り入れを行ったが、昨今の景気減速のあおりで、多くの企業が債務の返済に腐心しており、今回の利下げはそうした企業の救いの手になるとみられている。

 キャピタル・エコノミクス(ロンドン)の首席アジア担当エコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は「今回の措置は銀行から借り入れを行う企業の財務状況を和らげる」と指摘。
 とりわけ大企業や国営企業が恩恵を受けるだろうと述べた。
 中国の利下げを受け、株価は世界的に値上がりし、商品(コモディティー)市況も堅調となった。



ロイター 2014年 11月 21日 21:47 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0J519D20141121

中国利下げ:識者はこうみる

[21日 ロイター] -
 中国人民銀行(中央銀行)は21日、予想外の利下げを発表した。
 主要政策金利の引き下げは約2年ぶり。
 借り入れコストを押し下げ、減速する経済を支援する。

市場関係者のコメントは以下の通り。

★.<ソシエテ・ジェネラル(ロンドン)の為替ストラテジスト、アルビン・タン氏>
 中国の景気刺激は商品輸入拡大につながるとの見方から、豪ドルとニュージーランドドルが反射的に上昇している。
 米FRB以外の主要中銀が緩和政策を進める中、ドルにとっても、世界的なリスクの面でもポジティブ材料だ。

★.<IGの首席市場アナリスト、アレクサンダー・バラデス氏>
 中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が活動縮小を示す危険水域に近づいており、適切なタイミングだった。
 中国人民銀行は米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀などと同じ道をたどっている。
 中銀が市場を動かしている。

★.<ADMインベスター・サービシズ・インターナショナルのストラテジスト、マーク・オストワルト氏>
 利下げのタイミングからすると、人民元の対円での急上昇が、中国経済が苦境に陥っているという現状と同じぐらい大きな理由だとみられる。
 また、中国の消費者物価と生産者物価が抑制されているという状況もある。
 韓国や東南アジアの国々による行動も見込まれ、インド準備銀行(中銀)の利下げも可能性が高い。
 1997─1998年にも同様の状況があったが、大きな違いといえば、当時はアジアや新興国の中銀の外貨準備は非常に限られていた。
 当時は世界の外貨準備の総額が2兆ドル未満だったが、現在は13兆ドルを上回っており、その大部分がアジアにある。
  ただ、このような通貨戦争は何の役にも立たない。

★.<サクソバンクのトレーダー、アンドレア・トゥエニ氏>
 驚きだった。
 中国人民銀行はこれまで、信用バブルをめぐる懸念から、金利を通じ景気浮揚させることに消極的だった。
 そのため、今回の動きは、人民銀行が景気見通しへの懸念を深めていることを示している。
 また、最近の成長鈍化傾向を断固として転換させようとしている明確なシグナルとなった。



2014年11月22日09時42分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/074/193074.html?servcode=300&sectcode=300

中国も利下げ、世界デフレ恐怖拡散…韓国は?

  中国人民銀行が21日、2年4カ月ぶりに基準金利を電撃的に引き下げた。 
 減速する中国経済に懸念が強まる中、市場に資金を供給し、景気不振から抜け出そうということだ。
 中国のこうした金融緩和政策で、最近
 デフレ危機に陥った世界経済に
 中国発の通貨安競争の暗雲が広がる
勢いだ。

  中国中央銀行の人民銀行はこの日、1年満期預金金利を22日から0.25ポイント引き下げた2.75%に、1年満期貸出金利は0.40ポイント引き下げた5.60%にそれぞれ調整すると発表した。
 また、金融機関の預金金利適用上限を基準金利の1.1倍から1.2倍に拡大した。
 中国の利下げは、2012年7月に預金金利と貸出金利を0.25ポイントずつ引き下げて以来。

  人民銀行の利下げは
 成長鈍化から抜け出すという方針を固めたものと分析される。
 中国経済は7月、国務院が産業高度化などのための一連の措置を取り、成長の勢いが急激に弱まっている。
 中国の今年1-9月期の経済成長率は7.4%にとどまり、今年目標である7.5%達成は不可能な見込みだ。

  中国の利下げは世界経済にデフレ恐怖をもたらす見通しだ。
 利下げで人民元が値下がりすれば、中国輸出品価格を低めることができる。
 これは輸出チャネルを通じてユーロ圏や日本、韓国の物価も落とし、デフレを輸出する効果をもたらす。

  すでにデフレ危機に陥った日本とユーロ圏はさらに強力な景気浮揚策を導入する可能性が高まった。
 安倍首相は来年10月に予定していた消費税追加増税を撤回し、無制限に金融緩和すると明らかにした。
 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁も0%台の成長にとどまったユーロ圏の経済回復のために1兆ユーロ(約145兆円)規模の国債買い入れを示唆した。

  パク・ジョンス西江大教授(経済学)は
 「韓国銀行(韓銀)も利下げなど積極的な通貨政策をとるべきだ」
と述べた。



レコードチャイナ 配信日時:2014年11月24日 11時45分
http://www.recordchina.co.jp/a97884.html

中国、突然の利下げ発表
「中国はやけくそ」
「今度は中国が砂上の楼閣?」―米国ネット

 2014年11月21日、中国人民銀行(中央銀行)が利下げを行うことを発表したことが報じられ、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

 人民銀は21日、貸出金利(1年物)を0.4%引き下げ、預金金利(同)を0.25%引き下げることを発表した。
 22日から実施し、利下げ後は、貸出金利(1年物)が5.6%に、預金金利が2.75%になる。
 2012年7月以来、2年4カ月ぶりの利下げとなる。
 ロイターの報道によると、英国ロンドンのキャピタル・エコノミクスの首席アジア担当エコノミストは、今回の利下げについて「サプライズだった」と述べており、
 「実質国内総生産(GDP)には大きな影響はないだろう」
と述べている。
 今回の発表に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「中国がいっそう強欲になったってことだ。
 それだけのことだ!」
「中国の通貨価値を下げて、仕事が米国に戻ってしまうのを避けようとしている」
「今度は中国が砂上の楼閣ということ?」
「米国では5%の成長率は景気が堅調であることを意味するが、中国では5%の成長率は不景気だ」

「それほどすぐではないだろうが、これまでのあらゆる経済政策はひどい状態で終わりを迎えるだろう」
「中国はやけくそになっている。
 資金調達して、破産して、会計帳簿をごまかすんだ」
「世界経済はとてもいい状態ってわけだ」



ブルームバーグ 更新日時: 2014/11/25 06:15 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFJ7QZ6JTSEO01.html

中国利下げ、新たな通貨戦争参戦の意味合いも-影響は国際的

  11月24日(ブルームバーグ):
 約2年ぶりの中国利下げ は国内的な理由によるものだが、その影響は国際的だ。
 2014年の中国成長率が四半世紀近くで最低に向かう中、中国人民銀行(中央銀行)は予想外のタイミングで利下げに踏み切った。

 人民銀は景気刺激を追加する戦線に、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行に続いて加わった。
 量的緩和を終了した米当局は来年利上げをする公算で、政策乖離(かいり)が15年を特徴付けることになりそうだが、乖離の幅は毎週広がっていくようだ。

 中国の利下げ発表の数時間前にはECBのドラギ総裁が、インフレ率を出来る限り迅速に押し上げるため行動すると表明。
 欧州株は先週、7年ぶり高値で終了した。

 中国の景気刺激策は、緩和を受けて同国の消費者が外国製品の購入を増やせば世界の需要を支えることになる。 
 商品相場下落への歯止めにもなるかもしれない。

 一方で利下げは、人民元の上昇を容認してきた中国が新たな通貨戦争に参入したことを意味する可能性もある。
 各国が競って自国通貨安を促す状況はインフレと需要を奪い合う戦争となる。

 ADMインベスター・サービシズ・インターナショナル(ロンドン)のストラテジスト、マーク・オストワルト氏は、日本銀行の量的緩和拡大によって人民元が円に対して10月半ば以降に10%上昇したことが中国に通貨戦争参戦を促したと指摘。

 利下げ発表同日の21日のリポートで、
 「利下げのタイミングは中国経済の減速と同じくらい、人民元の対円相場急上昇と関係があるように見受けられる」
と記述した。

 次は韓国と他の東南アジア諸国が、自国通貨上昇による輸出減速を防ぐための金融緩和を迫られるだろうとする同氏は
 「この種の通貨戦争は実は、全く助けにならない」
と断じている。

原題:China Cut Reflecting Domestic Reasons Carries Global Resonance(抜粋)



SankeiBiz 2014.11.25 06:03
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/141125/mcb1411250500018-n1.htm
(ブルームバーグ Kevin Hamlin、Xin Zhou)

中国に追加利下げ観測 
国有企業に融資集中、てこ入れ効果小さく 

 先週予想外の利下げに踏み切った中国人民銀行(中央銀行)に対し、市場関係者は今後も利下げが繰り返されるとの見方を示している。
  近年にない成長鈍化にあえぐ中国経済の立て直しには一段のてこ入れが不可欠との認識だ。
 一方で生産性の低い国有企業に融資が流れ込む従来の構図が変わらなければ、今回の刺激策が実を結ぶ公算は小さいと指摘する向きもある。

■地方財政には寄与

 人民銀は21日、1年物預金金利を0.25%引き下げ2.75%に、1年物貸出基準金利を0.4%引き下げ5.6%とした。
 貸出基準金利の下げ幅の大きさは、住宅ローンを標的とした利下げだったことを示唆している。

 今月発表の統計によると、1~10月の住宅販売額は前年同期に比べて約10%落ち込んだ。
 7~9月期の不良債権は2005年以来で最悪となる10%の急増。
 また10月の工業生産は前年同月比7.7%増と、09年以来で2番目に低い伸びにとどまった。

 世界2位の経済大国でありながら1990年以来最低となる年間成長率を記録するとみられる中国について、JPモルガン・チェース、バークレイズ、バンク・オブ・アメリカ(BOA)、UBSといった金融機関は軒並みさらなる利下げが行われるとみている。

 広州の資産運用会社、広発基金管理で230億ドル(約2兆7000億円)規模の資産管理を手がけるリャオ・ジン氏は24日までに電話で
 「金利が低下すれば企業の債務負担は軽減され、新たなデフォルト(債務不履行)の拡大リスクが抑えられる。
 今後も人民銀の利下げは続くだろう」
と述べた。
 同社は政策金利か預金準備率の一段の引き下げが行われると予測している。

 今回の利下げは地方政府の資金調達事業体(LGFV)の負担軽減にも寄与するものだ。
 会計検査院に相当する国家審計署によれば、
 LGFVの抱える負債は2013年6月時点で17兆9000億元(約344兆円)と、10年末から67%増加した。
 格付け会社のフィッチ・レーティングスが出資する中国の共同企業体、聯合資信評估は、今後もLGFVデフォルトの可能性を排除しないと明言する。

■中小企業に恩恵なし

 人民銀は利下げの狙いとして、全面的な金融緩和ではなく小規模企業支援と預金者の保護に言及した。
 ただ中国の銀行債務の借り手は依然として大手国有企業に集中しており、規模の小さい企業の与信残高は融資全体の3分の1に満たないのが実情だ。

 より生産性の高い民間企業ではなく経営効率に問題を抱える国有企業に融資が流れるという旧来の慣習が改められなければ、幅広い刺激策への転換もかえって事態の後退を招く恐れがある。

 キャピタル・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、金利の引き下げについて
 「銀行から借り入れを行う地方政府と国有企業にとっては助かる話かもしれないが、金融システムの他の部分から借り入れる企業にはそれほど意味がないのではないか。
 最終的な結果としては、大手国有企業が若干の恩恵を受けるにとどまるだろう」
と分析した。

 人民銀のまとめによると、9月末の中小企業への銀行融資残高は14兆6000億元と、企業向け銀行融資全体の29.6%にとどまる。
 12年7月の前回の利下げ以降、人民銀は債務の拡大抑制の一環としてシャドーバンキング(影の銀行)に対する監視を強化。
 こうした中で民間中小企業の債券・株式市場を通じた資金調達へのアクセスは一般的に制限されている。


ロイター 2014年 12月 18日 15:11 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0JW0CN20141218

コラム:中国の超高度成長は終わったか

[香港 18日 ロイターBREAKINGVIEWS] -
 中国経済は、向こう20年の間にどのくらい成長するのだろうか。
 大半のエコノミストは、過去の国内総生産(GDP)伸び率をそれほど下回らない程度だと予想している。
 だが、世界的な観点から見れば、それは拡大解釈のように見える。

 Breakingviewsの分析ツール(bit.ly/1wH1wbJ)はその理由を示している。

 中国は、2000─2010年の1人当たりのGDPが年率9.85%という驚異的な成長を遂げた。
 同じ成長率で経済が拡大し続けるなら、中国のGDPは2033年までに65兆ドルに達する。
 これは2013年のGDP全体のほぼ7倍に当たる。

 では、残る世界全体の1人当たりGDP伸び率が2%だとしよう。
 その場合、向こう20年間で、世界のGDPに占める中国の割合は35%以上となる。

 大半のエコノミストが、中国の2ケタ成長は過去の話だと認めるものの、中国が2014年に目標としていた7.5%を少し下回る程度の成長率で同国経済は拡大可能だと考える人も多い。
 だが、これは長期的に見るとかなり野心的な数字だ。

 1人当たりの中国GDP伸び率が向こう20年間で年率6.45%でも(この数字は1963─83年の日本の成長率と類似)、世界のGDPに占める中国の割合は、2013年のほぼ倍となる22%超になる見通しだ。

 過去の経済成長の主な要因は、農村地帯から都市部の工場に出稼ぎに出ていた比較的若い年齢層にある。
 今後、中国の人口は高齢化し、労働人口が拡大することはほとんどないだろう。

 世界のGDPの3分の1以上を占めるには、中国の労働者が生産性を飛躍的に向上させる必要がある。
 技術的な進歩がこれに寄与するかもしれない。
 だが、そうした技術的進歩を中国が独占することは難しいだろう。

 また、中国の成長率が年率2%程度に減速するという別の可能性も考えられる。
 これは、ハーバード大学の経済学者、ローレンス・サマーズ氏やラント・プリチェット氏らが主張する、急成長を遂げた国の傾向と合致する。

 現代史において、中国は前代未聞の40年の長きにわたる成長を遂げた。
 しかし現在の経済規模を考えると、持続的な超高度成長はいっそう不可能に思える。

*筆者はロイターBreakingviewsのコラムニスト。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。




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