2014年11月30日日曜日

台湾・国民党が大敗北:統一地方選で予想以上の「無惨」、大陸メディアは小さな扱い

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AFPBBニュース 2014年11月30日 10:08 発信地:台北/台湾
http://www.afpbb.com/articles/-/3033040

台湾の統一地方選、与党が大敗 行政院長が辞任

【11月30日 AFP】
 29日投開票の台湾の統一地方選挙は、与党国民党(Kuomintang、KMT)が大敗し、首相に当たる江宜樺(Yi-huah)行政院長が「政治的責任」を取って辞任すると発表した。

 台湾史上最大の規模となった今回の選挙では、6直轄市をはじめとする全行政区の首長と議員ら約1万1130人が選ばれた。
 有権者は約1800万人。
 投票率はまだ公式に発表されていないが、65~70%とみられている。

 公式な選挙結果によると、国民党は最も激しい選挙戦が繰り広げられた6直轄市のうち5市の市長選で敗北した。
 選挙前に国民党は4直轄市の市長を出していた。

 野党民進党(Democratic Progressive Party、DPP)は、同党が支持した無所属新人が国民党の牙城だった台北(Taipei)市長選で当選するなど、6直轄市の市長を2市から4市に倍増させた。
 国民党が直轄市長選で勝ったのは新北(New Taipei)市だけだった。

 選挙前に国民党は北部の3直轄市と中部の1直轄市の市長を出していた。
 民進党は南部の2直轄市長を出していた。

 中国からの影響力増大に住民の不安が募る中行われた今回の選挙は、対中関係が主要な争点となる2016年に次期総統選を控え、重要な試金石になるとみられていた。
 政府は減速する経済や相次いだ食品関連の不祥事にも見舞われていた。

 台北にある中国文化大学(Chinese Culture University)の政治学者、蔡瑋(George Tsai)氏は、
 「両党にとって意外な結果だったと思う。
 国民党にとっては勝利できると思っていた地域でも敗北するという悪い結果だった」
と述べた。
 「選挙結果は国民党に、より透明性を高め、(有権者の声に)より良く対応するように政策を根本的に調整しなければ、2016年の選挙で敗北しかねないという明確なメッセージを送った」

(c)AFP/Amber WANG, Benjamin YEH



サーチナニュース 2014-11-30 13:13
http://news.searchina.net/id/1551663?page=1

台湾・国民党が大敗北
・・・統一地方選で予想以上の「無惨」、大陸メディアは小さな扱い

 台湾で29日に行われた統一地方選挙で、与党・国民党は事前予想以上の「大敗北」を喫した。
 主要6地域の首長選(市長/県長選)で選挙前には「現状の4首長維持は困難で、2首長に減る可能性あり」とされていたが、国民党候補の当選は新北市の1カ所だけだった。

 中国大陸のニュースサイトは、選挙結果をあまり取り上げていない。
 中国政府は29日夜、「このたびの選挙結果に注目している」などして、選挙結果には直接言及しない短いコメントを発表した。

  台湾で今回の統一選挙は、9種の選挙を同時に実施するため「九合一」と呼ばれた。
 最も注目されたのは、中華民国直轄の5市1県の首長選だった(前記の1県である桃園県は12月に直轄市に昇格することが決まっているため、市長選とされる場合がある)。
  国民党は選挙前、6市/県のうち4市/県の首長を押さえていた。
 事前予想では
 「国民党候補が当選するのは新北市と桃園県の2地域だけになる可能性あり」
とされたが、桃園県でも国民党候補は落選し、民進党県長(県知事)が誕生した。
 新北市は「現職の朱立倫市長が大差で当選」とされたが、結果は民進党候補の2万4000票差にまで追い上げられての辛勝だった。

  最大の注目を集めた台北市長選では、国民党の連戦名誉主席の息子である連勝文候補と、無所属の柯文哲候補が対決した。
 柯文哲候補は民進党との協議で、民進党が独自候補を出さないことで合意しており、事実上の民進党系候補と考えてよい。
 柯候補は有効投票のうち57.16%を獲得し、連候補の40.82%を大きく上回って当選した。
 連候補陣営は選挙期間中、柯候補の祖父が日本統治時代に官僚だったとして、
 「旧日本人と新台北人の戦い」、
 「日本人官僚は男尊女卑だ。女性を重視せねばならない台北市には似合わない」
などと露骨な個人攻撃もしたが、及ばなかった。

  台湾省下の行政区分とされる14の市/県では、国民党候補の当選者は4人にとどまった。
 民進党候補は9人が当選と、圧勝した。
 無所属候補は1人が当選した。
 金門県では無所属、連江県では国民党候補が当選した。
  国民党は選挙前、15の市/県首長を押さえていたが、今回の選挙で台北、基隆、台中、彰化、桃園、嘉市、金門、澎湖、竹県が次々に「陥落」。

 中華民国の計22の市/県の首長のうち、民進党党員は13人、国民党党員は6人、無所属は3人になった。
 台湾メディアの聨合新聞は
 「惨状のひどさは、国民党史上、全くなかったこと」
と評した。

  市/県首長選で、得票率では民進党が47.56%、国民党が40.70%だった。
 民進党が相当に差をつけたが、「圧倒的」とまでは言い切れない状況だ。
 また、議会選挙では国民党が第1党の座を民進党に明け渡したが、民進党議員の議席数も過半数には達していないケースが多い。
   今回の統一地方選は2016年の総統選挙の前哨戦とも見られていた。
 国民党では馬英九主席の求心力が弱まり、今後の政権運営がさらに困難になるとともに、すでに総統2期目の馬英九主席は再選制限により2016年の総統選には立候補できないことから、候補者選びを巡って党内が混乱する可能性がある。
 一方の民進党は、単独過半数を占める地方議会が少ないとの問題がある。
 議会運営を順調に進められない場合、政権担当経験が浅いとして、有権者の間で不信感が発生する可能性も否定できない。
  民進党では、今年(2014年)5月に就任したばかりの蔡英文主席が16年の総統選候補になるのが順当だが、蔡主席には「選挙にあまり強くない」との批判もある。
 そのため、「選挙に強い」との定評があり、今回も得票率が72.90%と、国民党候補の27.10%を圧倒して当選した台南市の頼清徳市長を民進党主席、さらに総統選候補者に推す動きが活発になる可能性があるとの見方もある。

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 30日正午現在(日本時間)、大陸メディアは台湾統一地方選の結果を積極的に取り上げていない。
 投票開始まで、状況を克明に紹介していたのとは、対照的だ。
  新華社、人民日報、中国新聞社は一般向けのニュースサイトを開設し、さらにサイト内に台湾関連情報を扱うページを設けている。
 新華社系の新華網は29日午後9時15分に台湾における地方選の実施と、
 「計22の市/県の首長の当選者は民進党党員13人、国民党党員6人、無所属3人になった」
ことだけを短く伝えた。
  人民日報系の人民網は30日午後0時半になっても、台湾関連の最新記事が29日付の「地方選挙、本日実施」で止まっている。
 華僑向け通信社の色彩が強い中国新聞社は29日深夜にニュースサイト中新網に、国民党の惨敗を伝える記事を複数掲載したが、ページを開きにくい状態が続いている。
 アクセスが集中している可能性もある。
 大手ポータルサイトの新浪網は中国新聞社の記事を転載したが、やはり開きにくい状態だ。
 中国政府・国務院台湾事務弁公室は29日、
 「このたびの選挙結果に注目している。
 (台湾)海峡両岸の同胞が、(これまでに達成した)容易でない成果を大切にするよう希望する」
する短い声明を発表した。



サーチナニュース 2014-12-12 12:41
http://news.searchina.net/id/1553439?page=1

馬英九は無能」、
「頭の中は中国だけ、台湾に関心ない」、
「辞職させなさい。メンツは保てる」=李登輝元総統

 台湾の李登輝元総統は10日、11月29日の統一地方選で大敗北した国民党の馬英九総統について
 「無能」、
 「最もよいのは辞職させることだ。(彼の)メンツも保てる」、
 「メンツもいらないというなら、もっと強硬な方法があるだろう」
などと述べた。
 同発言は台湾も注目された。
 中国大陸のメディアは、李元総統の発言に強く反発するメディアの論説を紹介した。

  李元総統はキリスト教徒であり、10日午前にキリスト教関連の式典に主席した際、取材に答えて馬英九総統についての所感を披露した。
  李元総統は、馬英九総統について
 「人々が直面する困難を処理できない。国民党の100年の歴史で、最も恥じるべき失敗をした。
 それなのに反省の姿勢をみせず、行政院の改組もせず、(行政院長=首相が辞任したにも関わらず)同じような人物にすげかえた」
などと、選挙そのものだけでなく、選挙後の対応も厳しく批判。
  馬総統について「無能」を批判して、「最もよいのは辞職させることだ。(彼の)メンツも保てる」、「(総統の座にしがみつくなどで)メンツもいらないというなら、もっと強硬な方法があるだろう」と、総統職を続けることは断念すべきとの考えを示した。

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 李元総統は、台湾を民主化した功労者だ。
 台湾だけでなく、長い歴史を持つ中華文明圏で初めて民主社会を出現させたとも言える。
 もちろん「李登輝政治」に対しての批判がないわけではない。そ
 のひとつとして、
 「馬英九総統のような、能力に欠ける者を引き立てる場合があった」
との指摘もある。
  李元総統は、台湾で過去に進めた改革において、馬英九総統の立場は「非主流」だったと指摘した。
 具体的な問題点としては
 「中国の『法統』の考え方を抱き続けている」
と説明。
 「法統」とは中央を負われた政権が「自らこそが正統」と唱えることを指す。
 つまり李元総統は、台湾では「台湾は台湾。
 中国(大陸)とは別の存在」との方向で改革が進められたのに、
 馬英九総統は「台湾に居を置く中華民国こそが、中国の正統政府」との考えから脱却しなかったと批判したことになる。

 李元総統によると、馬総統にかつて「あなたは何人か?」と尋ねたことがある。
 馬総統は「新台湾人」と答えた。
 李元総統は
 「どこに新台湾人、旧台湾人の区別があるのか」
と違和感を感じたので「あなたはどの道を歩むのか?」とさらに尋ねた。
 馬総統は「李登輝路線を歩みます」と答えた。
 李元総統は改めて
 「その後に彼がやったことは、全く違うことだ。
 国民党の内部改革にも、完全に反対していた」
と批判した。

 李総統は11月の統一地方選で、市や県の国民党首長がほとんど「総取り替え」になったことについて
 「国民党は候補者が不適切だった。
 人々は『商品がひどかった』と言っている。
 (候補者選びが)権益中心で、庶民から完全に離脱していた」
と批判。  
 候補者については国民党が選出したものであるが、馬英九総統も異論を出さなかったと指摘。
 さらに
 「馬英九総統はここ数年、問題を
 多く出した。
 庶民の生活は不安定になった。
 何をするにも自信がなくなった。
 それなのに、馬英九はきちんと解決しなかった」
と述べた。

  李元総統は
 「総統をすでに辞めた者として、現職の総統を批判すべきではないと思う」、
 「90歳を超えて、こんなに多くを語るべきではない」
と述べた上で、
 「しかし台湾は今、どうなってしまうか分からない状況だ。
 100年の歴史を持つ国民党も、今にも倒れてしまいそうだ。
 庶民の困っていることも解決できていない」、
 「(だれかが)言わねば、だれも動かない」
などと、発言の真意を披露。
 馬英九総統を再び批判し
 「関心を持っているのは、中国と一緒にやっていくことだ。
 台湾には関心を持っていない。
 だから、青年に仕事がなくなり、給与水準が下がり、部屋代は高くなった。
 人々から『結婚しよう』、『子どもを作ろう』という気持ちが消えてしまった」
と述べた。

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 大陸側との接近に対して批判的な自由時報は、李元総統の発言を「辞職させて、メンツは与えよう。
 李登輝が再び馬英九批判」との見出しで伝えた。本文は、記者との問答をそのまま再現したような構成だ。
   国民党寄りの論調が特徴の聯合報も同様の内容で報じた。
  かつて国民党の機関紙だった中央日報は
 「李登輝に馬英九辞職を求める資格はない!」
と李元総統を強く批判する論説を発表した。
 同論説は李元総統は金権政治家であり、馬英九総統は
 「批判すべき点は多いが、彼自身は清廉潔白だと強調している」
と論じ、李元総統を
 「まるで記憶喪失症を患っているようだ」
などと非難した。
  中国台湾網、中国新聞社などは中央日報の記事を引用し、李登輝元総統が台湾で厳しい批判にさらされている印象をもたらす記事を配信した。

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◆解説◆
  中央日報は1928年、国民党の機関紙として発刊された。
 1990年代に報道が自由化されると、「国民党員と図書館以外の購買が激減」との状態になり、経営が悪化。
 国民党は売却を模索した買い取り手が現れず、2006年6月に、事実上の廃刊となった。同年9月に「ニュースサイト」として復活した。


サーチナニュース 2014-12-15 22:49
http://news.searchina.net/id/1553752?page=1

馬英九総統また「馬脚」
・・・会談申し込んだ民進党・蔡党首が「オープンでない会談は無意味」と<ひじ鉄>=台湾

 台湾の馬英九総統が民進党の蔡英文主席(党首)に会談を申し込んでいた件について、蔡主席は14日に、拒否する意向を確定した。
 蔡主席は
 「会議は主要な政党や市民グループが共同で行うべき」、
 「2人だけで会談しても、今の段階で特に意味はない」
などと説明した。
 馬総統については、政策決定の不透明性も批判の理由になっていたが、最大野党の党首との「密室会談」を申し込んだことで、あらためて“馬脚”をあらわすことになった。

  馬英九事務室の馬〓国報道官によると、馬英九総統は蔡英文主席に対して意見交換のための会談を申し込んでいた。
 しかし、蔡主席が「無意味」との考えを表明したので、
 「蔡主席の意思を尊重し、今後は馬英九総統から会談を申し込むことはしない」
ことに決めた。(〓は王へんに「韋」)
   蔡主席は同件について、
 「会議は主要な政党や市民グループが共同で行うべきだ。
 全市民が参加する会議と位置づけられるからだ」、
 「2人だけで会談しても、今の段階で特に意味はない」
と説明。

 さらに、11月29日実施の統一地方選挙後の民意の変化として
 「台湾について、新たな考え方をするようになった。
 人々は台湾の重要な政策決定について参画したい、せねばならないと考えている。
 台湾が直面する多くの重要な問題については、多くの人が話し合いのテーブルについて考え方の距離を縮め、共通認識を凝縮せねばならない」
とする考えを示した。

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◆解説◆ 
  馬英九総統は大陸側とのサービス貿易協定を強引に発効させようとして、3月から4月にかけて反対する学生らが立法院(国会)議会場を占拠する事態を招いた。
  台湾では従来、
 「中華人民共和国は国家として認めない。
 したがって、大陸側との協定は外国と結ぶ条約ではない」
という“政治上の建て前”が優先され、大陸との協定に国会の批准は必要でなく、
 「国会が明確な反対意思を示さねば、行政が実施できる」
ことになっていた。
  馬英九政権は、大陸側との経済交流を大きく推進させるサービス貿易協定の発効を急いでいた。
 反対や疑問の声が大きな同協定について、国民党議員側が国会で「審議終了」を宣言したことが、学生らによる議場選挙を招いた。
  馬英九政権についてはそれまでにも、「国民の意見を問う」としながら、約束を反故した「前歴」があった。
 台湾で4番目となる龍門原発(核四)の建設問題で、2013年3月には「8月を目途に住民投票を行う」と表明したが、現在に至っても住民投票は実行されていない。
 さらに、国民党議員で立法院長(国会議長)である王金平氏が民進党など野党に配慮した議会運営を続けたために同院長と対立。馬総統は2013年9月に王院長の国民党籍を剥奪したが、裁判所は王院長の身分保全の仮処分の申請を認めた。
  学生らが立法院を占拠した際、馬総統に解決に向けた具体的動きはあまり見られなかった。
 王院長が独断で、学生側に対し
 「大陸側との協定については、立法院などが監視できる法令を作る。
 それまではサービス貿易問題の審議は行わない」
と約束したため、学生らは王院長の約束を「信じる」として退去を決めた。
  現在も、大陸側との協定について立法院の監視を必要とする法令は成立しておらず、大陸側とのサービス貿易協定も審議が進められていない。

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 台湾では1990年に民主化が実現したが、制度上の不備がまだかなり存在するとの指摘がある。
 90年代に民主化を推進した李登輝元総統も、自らの大きな業績である当時の民主化を「第1次民主改革」と表現し、
 「第1次民主改革はすでに限界に達した。
 台湾にとって第2次民主改革が、喫緊の課題」、
 「(第2次民主改革で)中央に集中しすぎている権力を民衆に返還せねばならない。
 政策が本当の意味で民衆の願いにより決定されるようにせねばならない」
などと主張している。
  政権担当者、しかも支持率が低迷しつづけている指導者としては、現行の民主制度には不備があるとの指摘する声が存在するだけに、
 「多くの人が民主的と納得するやり方」
を心掛ける必要があるが、馬総統のこれまでのやり方を見る限り、強引さや、「密室における談合」風な政策決定が目立つ。
  蔡英文主席は馬英九総統の「体質的問題」を感じ取り、2者による会談を拒絶したと考えられる。
 台湾では総統に強い権限を持たせている。
 就任できるのは2期目までだ。
 そのため、2期目の選挙に臨まねばならぬ1期目は民意の動向には比較的敏感だが、「次の総統選の出馬はない」と決まった2期目には、民意を気にせず自らが望む政策を実行したくなる「誘惑」にかられやすいという。
 2期目に入ってからの馬英九総統の言動は、まさに「そうだった」と評することができる。
 蒋介石政権が色濃く持っていた
 「言葉の上では自由主義を強調。
 実際には典型的な強権政治」
という体質への“復古”すら感じさせる政治手法だった。

 民主主義が持つ非効率性をある程度は覚悟しつつ、国民の大部分に為政への「納得」を実現せねばならない民主主義の“宿命”に逆行する「反動」とも言える政権運営だった。
  だからこそ、支持率が10%にも満たないとのアンケート結果が連続した低支持率の政権にならざるをえなかったとも言える。
 馬英九総統は、民進党の蔡主席に改めて「密室会談」を申し出て、“ひじ鉄”を食らわされたことで、あらためて政治についての発想で「馬脚」を出したと言える。

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 民進党の蔡英文主席は1956年生まれ。台湾大学を卒業後、アメリカのコーネル大学ロースクールで法学修士、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得した。
 2000年に政界入り。  08年には民進党初の女性党首(主席)になったが、10年の新北市市長選、さらに12年総統選に敗れて辞任した。
 14年には党内の対立を解決するとの観点から、再び党首に推され就任した。
 台湾では2016年に総統選が実施される。
 蔡英文主席はこれまで「選挙に弱い」との見方もあり、民進党が「蔡英文体制」で総統選に臨むことを疑問視する声もあった。
 しかし、11月29日の選挙で「大勝」したことで、蔡英文主席が改めて総統選に出馬する可能性が高まったとの見方が強まりつつある。当
 選すれば、台湾初の女性総統ということになる。



サーチナニュース 2014-12-30 14:09
http://news.searchina.net/id/1555524?page=1

馬英九総統は「消極怠惰」「新たな局面全く作れず」
・・・台湾記事を中国メディアも転載

 台湾誌「観察」は12月発売号で、11月の29日で国民党に歴史的惨敗をもたらした馬英九総統を「消極怠惰」などと厳しく批判する記事を掲載した。
 同誌は大陸との関係では「協調論調」を唱えており、李登輝元総統、陳水扁前総統を批判する立場だが、馬総統を「新たな局面を全く作れず」などと批判した。
 環球網や中国網など中国大陸のインターネット媒体も同記事を転載した。

  記事は最初の部分で、李登輝元総統を
 「自らの権力固めのため本土化を高らかに唱え、人民に麻酔をかけた」
などと批判。
 さらに、国民党は李登輝政権期に金権体質化し、道徳面でも腐敗したと断じた。
 台湾の「本土化」とは、
 「現在の中華民国にとって台湾こそが本土だ。
 中華民国は大陸部とはすでに切り離された存在」
との考え方を指す。
   陳水扁政権についても、腐敗の傾向がさらに高まり、「李登輝式の本土化」に導かれ、
 「大陸の実力が急速に高まったことを無視したため、台湾はさらに両岸関係における主導権を失った。
 中国共産党の圧力をさらに受け、台湾に不利な現象が多く表面化。
 人々は大きな不安を感じた」
と批判した。

 2008年に馬英九政権が誕生した際には、
 「国民党の腐敗イメージは(馬英九総統)個人の魅力で覆い隠された」
と指摘。
 ただし、「資産家の遺産税引き下げや財界への大きな保護」を行い、しかも高級官僚の腐敗事件が発生しても、徹底的に対処しなかったなどで、多くの民衆が失望したと批判した。
   馬英九総統は(大陸との)両岸関係への貢献を「常に自慢する」とした上で
 「常態を回復しただけで、業績と呼べるのか?
  不統・不独・不武(統一しない・独立しない・武力衝突しない)は消極怠惰であり、実際には李登輝式・陳水扁式の『本土化』の延長だ。
 新たな局面は全く作れなかった」
と、厳しく批判した。

 記事は、国民党が今後目指す方向として
 「両岸関係の発展を通じて台湾の価値と実力を向上させること。
 それでこそ、最もすばらしく最も健全な『本土化』だ」
と主張。
 さらに、「良好な社会主義政策を研究し、中小企業を改めて取り込み、大資本の財界人とは適切な距離を保つべき」
と批評した。
  台湾では、総統に大きな権限が集中させている。
 任期は2期8年までであり、
 「1期目には次の選挙を考えて民意の動向を気にするが、2期目になると再選はないので、自らが望む政策を実現しようと暴走することがある」
との指摘がある。
  記事は、
 「中華民国憲法は李登輝により、総統専制に修正された。
 本当の民主主義の原理原則に回帰した内容を盛り込むべきで、『勝者の総取り』は変更せねばならない」
などと主張。
 二院制による責任内閣制の採用を訴えた。
 環球網や中国網など中国大陸のインターネット媒体も上記記事を転載した。

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 ◆解説◆
 李登輝元総統も、自らが手がけた台湾における民主化には限界があり、現在はそれを打破する必要があると訴えている。
 3月に大陸側とのサービス貿易協定を求めて学生らが立法院を長期にわたり占拠した際には、これまでの民主化を「第1次民主改革」として、
 「過度に集中している中央への権力の分散」、
 「台湾各地がすべて発展するメカニズムの構築」、
 「資源の公平な分配」、
 「各地の民衆が同レベルの基本的福祉を受けられるようにする」
などの内容による「第2次民主改革」が必要と力説した。
 上記記事が主張した「『勝者の総取り』は変更せねばならない」は李元総統の主張と同一だが、記事は李元総統を厳しく批判する論調で紹介した。
   中国大陸のメディアは従来、馬英九総統の業績を強調する記事を多く流し続けた。
 「エールを送る」かの記事も前った。
 しかし3月から4月にかけての学生運動を期に、馬英九政権が抱える問題点を紹介する記事が増えだした。
 11月29日の統一地方選で馬英九主席(当時)が率いる国民党が惨敗すると、馬英九総統や政権の問題点を指摘する記事が、さらに増えた。
 台南市の頼清徳市長は9月に来日した際に行った講演で、台湾第2の野党の・親民党の宋楚瑜主席が5月に北京を訪問して中国共産党の習近平総書記(国家主席)と会談した際、習総書記は「国民党は事実と異なるメッセージを送ってきていた」と述べたという。
 習総書記は、台湾との間で実現を目指してきたサービス貿易協定の実現が阻止されることになった原因は、馬英九政権が事実とは異なる説明をしてきたために共産党側も対応を誤ったからだと、馬英九総統および同政権に対する不満と不信感を示したと解釈できる。




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